自分で学ぶ心理学

心理学に興味はあるけど、どっから手を付けていいかわからない。そんな人のためのブログ。

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ストレスが役に立つこともあるとわかった8つの研究例

こんにちは。

 

本記事では皆さんもよく耳にする「ストレス」について書いていきます。

 

ます最初に、皆さんはストレスと聞いたとき以下のAとBのどちらの印象を持ちますか?

 

 

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A

・ストレスは体にとって害である。

・なるべく避けるべきである。

・ストレスがあると、活動(勉強とか仕事)の生産性が落ちる

 

B

・ストレスがあったほうが、活動(勉強とか仕事)の生産性をあがる。

・ストレスは健康の役に立つことがある

・ストレスにはよい効果があることもある。

 

AとBどちらがしっくりきましたか?

これはストレスに対する考え方(マインドセット)を簡単に調べるものでした。

 

 

以前は、私もストレスに対していい印象はもちろんありませんでした。

 

しかし、どうやら最近の健康心理学の研究によると、

 

ストレスは活動の生産性を向上させ、ストレスが過剰ではない場合、身体的健康にも役に立といったいい面があることが明らかになってきました。

 

 

では、具体的にどんないいことがあるのか?

いくつかご紹介します。

 

  •  ストレスにはよい効果もあると思っている人は、ストレスは害であると思っている人と比較した時、うつ病になりにくく、人生に対する満足度が高い

(ちなみに。この研究では個人の経験したストレスの強さはうつ病発症率や満足度となにも関係ないことも明らかでした。なので、ストレスをポジティブに捉えているからと言って、ストレスを全く感じないというわけではないようです。)

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  •  日本の同志社大学の研究。
    ストレスを避けようとする人ほど、人との「つながり」や私は~の一員であるという意識(帰属感)が薄れることを明らかにしました。

人間はストレスを感じるとオキシトシンというホルモンが分泌され、その影響で人とのつながりを求めるようになると言われています。

 

 

  • 1000人以上を対象とした、10年間の追跡調査研究。この研究では最初にストレスの対処法について質問しました。そこで、「ストレスはなるべく避ける」と答えた人は、その後の10年間でうつ病発症率が高く、職場や家族との争い事が増える傾向があるようです。

 

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  • 中学、高校、大学生を対象とした実験。試験中ストレスを感じていた生徒(試験中にストレス反応の一種であるアドレナリンの分泌量が急増した生徒)は、試験中落ち着いていた生徒よりも、試験の成績が優秀であった。

 

  • アメリカ特殊部隊、海兵隊、レンジャー部隊を調査対象とした実験。尋問中によりストレスを感じていた人(ストレス反応の一種であるコルチゾールの分泌量が多い人)は、敵に有益な情報を漏らす確率が低い。

 

 

  • 連邦警察官を調査対象とした研究。人質交渉訓練中によりストレスを感じていた人(ストレス反応の一種である心拍数の増加がもっとも大きい人)は人質を誤射する確率が低い。

 

 

  • 大学院進学を目指す人を対象とした研究。「試験中にストレスを感じて不安になったりする人ほど、よい成績をとる」と事前に伝えられた人(介入群)は、何も伝えられなかった人(統制群)よりも、3か月後の本番の大学院試験の成績がはるかによかった。また、事前に上記のメッセージ伝えられていた人は試験中に不安を感じても心配にとらわれすぎなかった。

 

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  • 2008年の金融危機の後、アメリカのある金融機関で働く人(388名)と対象とした実験。この時期、その会社は株価が58%減、大規模リストラ、給料36%減、とかなり追い詰められた状況でした。この実験では3つの群に分かれ、1週間ストレスに関するオンライン講座を受講します。

 

A群(3分間、ストレスは体に害となり、生産性を低下させるということのみを紹介したビデオを見た群)

 

B群(ストレスは集中力を高め、人との結びつきを強めるなどのストレスのポジティブ要素を紹介したビデオを見た群)

 

C群(なにもみていない群)。

 

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その結果、B群の人は「ストレスは必ずしも悪いものではない」という、バランスのとれた考え方を持つことができるようになりました。(マインドセットの変化)

では、実際にどのような効果があったのか。

 

B群(ストレスはいい面もあるというビデオを見た群)

・不安症やうつ病の症状の低下

・腰痛や不眠症の低下

・集中力の向上

・仕事への取組み方が積極的になる

・同僚との協力

・生産性の向上

 

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給料を3割減らされ、大規模リストラが行われ、不況真っ只中というかなり強度のストレスを感じているにも関わらず、上記のような様々な結果が得られました。

 

 

ここまでいくつかの研究を書いてきましたが、最後の二つの研究が示すように、「ストレスにはいい面もある」と後天的に知識として認識するだけで、プラスの効果が表れることがわかっています。

 

つまり、「ストレス??そんな問題ないさ!むしろウェルカム!」というかなり楽観的な人だけではなく、すべての人がストレスのいい面を享受できる可能性があるということですね。

 

 

では、ストレスのいい面を利用するにはどうしたらいいのか?

  • ストレスの新しい考え方を学ぶ
  • 実際にやってみる
  • 実際にやったことを友達などに話てみる

 

と言われています。

 

 

今後の記事では、

・ストレスが体に悪影響を引き起こす仕組み

・ストレスで悪影響を受けやすい性格特性

・ストレスをうまく利用するため知識

・脳を休めるためのリラクゼーション法(なぜヨガや瞑想は効果があるのか)

 

などについて書いてきます。

 

今回は理解の参考図をいくつか使いました。3パターンくらいを使ったのですが、皆さんが1番見やすいと感じたアルファベットをコメントに書いていただけると嬉しいです。

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今後の資料作成の参考にさせていただきます。

 

 

引用文献

Mcgonigal. K (2015). The Upside of Stress.(神崎朗子(訳)(2015). スタンフォードのストレスを力に変える教科書 大和書房)