自分で学ぶ心理学

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行動心理学の押さえておきたい基本中の基本

本記事では、行動心理学の基礎の部分をご紹介してきたいと思います。

具体的には、「学習」についてです。

この学習とは勉強のように知識をつけるのではなく、経験の結果として身に着ける行動の変化のことを意味します。

 

簡単は例を挙げると、赤信号をみるとなぜ人はとまるのか?

この仕組みも学習の1種です。このような学習の仕組みについてご紹介していきます。

 

 

 

今回の記事では、学習の仕組みやその学習の理論に基づいて、ひきこもりや無力感を感じてなにもしたくない、という症状の仕組みまでご紹介します。

 

 

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学習ってなに?

 

学習は冒頭で既に述べたように、「なんらかの経験の結果として身につける行動の変化」を意味します。

 

この学習は大きく分けると2種類あります(非連合学習と連合学習)が、今回は連合学習に焦点を当てていきます。

 

連合学習とは、ある学習が成立するのに一定の条件がある学習のことをいいます。

さっきの信号の例は連合学習です。

 

信号が赤という条件の時、人は止まる、すると車と衝突しないで済む。ということを学習しているからです。

 

では、これから有名な心理学の実験を紹介ながら、連合学習の2種について解説していきます。

 

 

 

パブロフさんの犬の実験

 

 

ノーベル賞を受賞したパブロフさんは学習の1基礎を発見したと言われています。

それは古典的条件付けというものです。

 

古典的条件付けとは、もともと何も関係ない刺激(便宜的にAとします)が、他の刺激(便宜的にBとします)と対になって、繰り返し示されることで、

刺激Aに刺激Bが同時に伴うものであると認識する(連合されるようになる)学習過程を意味します。

 

 

ここではよくわからなくても大丈夫です。実験の内容を見るとわかりやすいです。

 

パブロフさんはワンちゃんに餌(無条件刺激)を見せます。

するとワンちゃんはその餌に反応して唾液が分泌されます(無条件反応)。

 

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次に別の刺激を餌と同時に示します。今回はランプの明かりが中性刺激です。

まず、ランプの明かりをワンちゃんに見せてから、次に餌をみせ、最後に明かりを消します。

この過程を何回も繰り返します(条件付け期)

 

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すると、次第に餌がなしで、明かりを示すだけでワンちゃんは唾液を分泌する(無条件反応)ようになります。

これはワンちゃんが餌と明かりを連合させたことを学習したと解釈します。

 

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これが古典的条件付けというものです。

 

次は道具的条件付けです。これは犬がお手などを身につける学習過程です。

 

 

犬が芸を身に着ける仕組み~応用

 

道具的条件付けでは、行動に引き続いて起こる環境の出来事によって、その行動の発生頻度が増えたり、減ったりすることを言います。

 

今回もこの仕組みを発見したスキナーさんの実験とともにご紹介します。

 

 

スキナーの実験。

 

スキナーさんはネズミを実験のための箱に入れます。

 

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絵にもかいてあるように、この箱にはレバーと餌が出る箱があります。

 

ネズミはこのレバーを押すことができると、下の箱から餌が出てきて、餌を獲得できます。

 

ご想像のとおり、レバーを押してたら餌をゲットできるので、ネズミはたくさんレバーを押します。

 

このようにレバーを押すという行動の結果に付随する刺激(今回は餌)によってその行動(今回はレバーを押す)の発生頻度が増えることを強化といいます。

 

逆に、ある行動の結果に付随する刺激によって、行動の発生頻度が減ることをといいます。

 

もう少し具体的にいうと、強化と罰には正と負の2つに分類することができます。

 

  • 正の強化
  • 負の強化
  • 正の罰
  • 負の罰

 

まず、強化とは先に述べたように、ある行動の結果、その行動頻度が増えることを強化といいます。

一方、罰とはある行動の結果、その行動頻度が減ることを意味します。

 

正とはある行動の後になんらかの刺激を得ることです。

負とはある行動の後になんらかの刺激が除去されることです。

 

整理するとこのようになります。

 

正の強化は犬が芸を覚える過程と一緒です。

お手という行動→エサゲット→お手という行動増える。

 

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この例では、辛いすぎるという刺激を獲得し、その結果辛さ10倍に挑戦するという行動は減るだろうというものです。

言い換えると、

 

10倍カレーを食べる⇒辛すぎて嫌な経験を得る⇒10倍カレーを食べる頻度が減る 

 

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 朝早い電車に乗るという行動の結果、満員電車という刺激がなくなり、その行動の頻度が増えるというものです。

 

 

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この例は、注目という刺激がなくなることで、これまで注目を集めるための行動が減るだろうというものです。

 

 

では、これらを踏まえて人の無力感やひきこもりに陥ってしまう仕組みについてです。

 

 

引きこもり無力感の仕組み

 

 

無力感や引きこもりは「なにをやっても無駄だ」ということを学習したため生じると言われています。

まずは、そのことに関する回避学習の実験をご紹介します。

 

 

最初に、ジャンプすれば飛び越えられるような柵がある箱にワンちゃんが入れられます。

 

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次に、明かりをつけた後にワンちゃんのいる地面から電流が流します。

 

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これを何回か繰り返すと、次第にランプがつくとすぐにワンちゃんは柵を超えて電流を回避するようになります。

 

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このように事前に電流(嫌悪刺激)から逃れるための行動をとるようになることを回避学習といいます。負の強化といってもいいですね。

 

これをふまえて無力感の学習に移ります。

 

無力感の学習

 

無力感の学習では最初に箱に入れられるときにワンちゃんは動けないように鎖でつながれた状態で入れられます。

 

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そして、回避学習と同様に明かりがついた後に、電流が流れます。

しかし、鎖でつながれているため動こうとしても動けずに電流を受けてしまいます。

これを何回か繰り返し、なにをなっても電流から逃れられないことを学習します。

 

その後、鎖を外し回避学習と同じ箱に入れます。

言い換えると、ジャンプすれば電流から逃げられる回避学習の時の箱です。

 

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そこで、同じように明かりがついてから電流を流すのですが、その場にしゃがみ込み電流を耐えようし

全く動こうとしなくなってしまうのです。

 

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これは「何をやっても無駄なんだ」と無力感を学習したと言われており、学習性無力感といいます。

 

人間もこのように制御不能な出来事を繰り返し経験することで、無気力を感じ、活力がなくなっていき、

だんだんと引きこもりになっていってしまうと言われています。

 

また、制御可能性は人間がどの程度ストレスを感じるかに大きく影響を与えることがわかっています。

 

 

まとめ

今回は行動心理学の基本ということで学習について書いてみました。

犬のお手などの芸を身に着ける仕組みは経験的に理解していたと思うのですが、他の種類の学習についてはまだまだ日常生活で応用できることが多いのではないでしょうか。

 

  • 正の強化…犬の芸と餌の関係(餌を獲得。芸の行動増える
  • 負の強化…朝早い電車に乗ることで満員電車の苦しみが無くなる。朝早い電車に乗ることが増える
  • 正の罰…辛さ10倍カレーに挑戦。失敗。それ以降10倍の辛さに挑戦する可能性は減る
  • 負の罰…注目を浴びたい少年の騒ぐ行動。誰も注目しない。誰からも注目されなくなる。その騒ぐ行動は減る
  • 学習性無力感…なにをやっても無駄だと無力感を学習すること。その結果、新たな学習をしようとしなくなり、引きこもりのような状態になっていく

 

単語を覚えるというよりは、学習の一連の流れを覚えると今後教育心理学などの本を読むときに理解しやすいと思います。

 

 

参考文献

 

Nolen-Hoeksema, S. & Fredrickson, B. L & Loftus, G. R & Lutz, C(2015). Atkinson & Hilgard’s Introduction to Psychology 16th edition

(内田一成 (監訳)(2015)ヒルガードの心理学 金剛出版)